○ 近年はシルクスクリーンを使って転写する近代蒔絵も多くなりましたが、これはパイロットが戦前に当時の人間国宝松田権六氏の協力を得て社内に作った蒔絵師集団である国光会を今日まで維持し、その国光会に属する蒔絵師が一本一本、高度な技術を要する「蝋色仕上」を施した漆黒の地色の上に平蒔絵の技巧を用いて、品の良い白梅の老木を描き切った銘品です。
○ 白梅は金蒔絵の上から更に胡粉を混ぜた漆で高く描かれているので、ほんのりと白を通して金の輝きが浮かび、寒風に抗って咲く白梅の誇り高さまで表現されています。構図の良さ、老木の表現、色合いなど飽きる事のない、またどんなシーンでも悪目立ちせずに引き立つ蒔絵万年筆の中でも出色の一本と思います。これ程のレベルの万年筆を数万円台で販売していたとは、パイロット社はお人よし過ぎるとさえ思えます。縁起の良い図柄でもあり、贈答にも相応しい万年筆です。
○ 「蝋色仕上げ」は、一般的な上塗り(油分を含む漆を塗る事で塗ったままの光沢を楽しむ技法)と異なり、最初に油分を含まない透き漆や黒漆を使用、油木炭と呼ばれる研ぎ炭で表面を研ぎ、その後砥の粉などを綿布に付け磨き、更に上質の面で国産漆を用い摺り漆をし研ぎ面に染み込ませ、乾燥後、手の平に菜種油と鹿の角粉(つのこ)を付け磨きあげ、この工程を繰り返すと言うとても手の込んだ技法。それだけに美しく堅牢な地になります。
○ 評判の高いパイロットのニブ、それに容量の大きな７０Ｎコンバーターと万年筆としての機能も高い一本です。
○ 漆塗りはラッカーに比しても強靭な塗りで、通常の使用では簡単にハゲる心配はありません。使い終わった万年筆を優しく柔らかな布で拭いてあげる作業も心の落ち着くものです。
〇 ニブに歪みは無く、綺麗な注意事項：目につく傷やクラック、ハゲは見られず、スレも少ないと思いますが、古い品ですので、完全な新品をお求めの方、神経質な方は絶対に入札をお控え下さい。ノークレーム・ノーリターンでお願いします。万年筆のみの出品ですが、保護を兼ねてクリア・コレクション・ケースに入れて発送します。 【商品の説明】
ブランド、メーカー：カスタム・国光会・平蒔絵・白梅、パイロット
カラー・材質：金蒔絵（樹脂に平蒔絵）、ゴールドトリムニブ（ペン先）：１４金、字幅：Ｆインク補充方式：コンバーター、カートリッジ両用式（純正コンバーターをお付けします。）サイズ：全長：１４１mm 、最大胴軸径：１２mm、重さ：２０g（公表値）